一菓一凛
私がこの世に生を受けた、戦後間もない昭和22年。父正人が菓子製造卸をここ伊那に地に創業しました。物資が乏しい幼少時代に、朝早くから和菓子の餡を炊く父の姿とそれを支える母の笑顔を今も思い出します。「両親を助けたい」その一心で私も家業を継ぎ、菓子職人となりました。
私がこの世に生を受けた、戦後間もない昭和22年。父正人が菓子製造卸をここ伊那に地に創業しました。物資が乏しい幼少時代に、朝早くから和菓子の餡を炊く父の姿とそれを支える母の笑顔を今も思い出します。「両親を助けたい」その一心で私も家業を継ぎ、菓子職人となりました。
創業の想いを引き継ぎながら、時代の変化と共に新しい技術と感覚で今日まで菓子創りを続けて参りました。いつの世も、変わりゆくものもあればいつまでも変わらないものもあります。それが「人の心」です。真心を込めて創ったお菓子は、いつの時代も人の心に感動と喜びを創り出す。そう信じてこの道を歩んで参りました。
その道を歩き続け50年以上の月日が経ちました。私に残された時間もあとわずか。そこで、「私が菓子職人として生きてきた最後の集大成として、後世まで残る伊那の誇りとなるような菓子を創りたい。」そんな想いの中で、構想から3年。【調和と融合】をテーマに、材料の選別から製法まですべてに真心を込めてようやくここに完成したのがこの「凛菓」です。調和と融合には時間がかかります。それは菓子も人も同じです。時間をかけてそれぞれの個性がお互いに溶け合い熟成されたとき、得も言われぬような感動の繋がりが生まれます。それこそが人生最高の幸せと喜びではないでしょうか。
~一つの菓子が人の心と心を繋ぎ続ける~
そんな私の願いを汲んだ長男・慎一(現菓匠Shimizu社長)が、このお菓子を「凛菓」と命名しました。代々引き継がれる創業の心を通じ、新しい時代の幕開けに生まれた、最初で最後の親子のコラボレーション菓子です。
皆様の毎日の家族団らんに、そして伊那谷のお土産として大切な方々へ。 菓匠Shimizu70余年の歴史と伝統そして想いを、どうぞお召し上がりくださいませ。
令和元年七月 二代目店主 清水紀光